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ウォーターハンマーウォーターハンマーとは、水道システム内で発生する急激な水の流れの変化によって生じる衝撃波や振動の現象を指します。これは主に水道管内で流れる水の速度が急激に変化した際、またはバルブの急閉によって発生します。この現象は非常に強力な衝撃を引き起こし水道管にダメージを与える原因となったり、騒音の原因となったりするため、適切に対処することが重要です。ウォーターハンマーは水道システムの寿命を短くする可能性があり、最悪の場合、管の破裂を引き起こすこともあります。この記事では、ウォーターハンマーの原因、影響、予防方法、そしてその解決策について解説します。
1. ウォーターハンマーの原因
ウォーターハンマーの主な原因は、急激な水流の変化です。この現象は、水の流れが停止したり、急激に変化したりする際に発生します。以下に、ウォーターハンマーの代表的な原因を挙げます。
●バルブの急閉
最も一般的なウォーターハンマーの原因のひとつは、バルブの急閉です。水道システム内で水の流れを急激に停止させると流れが急に止まることによって水のエネルギーが一気に圧縮され衝撃波が発生します。特に水の流れが大きい場合、この衝撃は非常に強力になります。家庭や工場などで使用されるバルブや蛇口は、急激に閉じられることがあり、このときにウォーターハンマーが発生します。
●ポンプの停止
水道システム内にポンプが使用されている場合、ポンプの停止もウォーターハンマーの原因となることがあります。ポンプの停止時に水の流れが急激に止まるため流れの変化に伴って衝撃波が発生します。このような衝撃は、ポンプを利用した給水システムで特に問題となります。
●配管の急な曲がり
配管が急激に曲がる場所でもウォーターハンマーが発生する可能性があります。水が配管内を移動する際、急な曲がりや鋭角的な方向転換があると、水流が変化し圧力が急激に変動します。この変動が衝撃波を引き起こし、ウォーターハンマーとなります。
●配管内の空気の存在
配管内に空気が残っていると水流が変化するたびに圧力の変動が生じやすくなります。このような状態では、ウォーターハンマーが発生しやすくなります。空気は水道管内で移動し時にはバルブの閉鎖や水流の停止を引き起こす原因にもなります。
●大きな管径
配管のサイズが大きい場合、急な水流の変化が大きな衝撃を引き起こしやすくなります。特に水道管の直径が大きく、長い距離にわたって水を供給するシステムでは、ウォーターハンマーの影響が顕著に現れることがあります。
2. ウォーターハンマーの影響
ウォーターハンマーはその強力な衝撃波によりシステムに多くの悪影響を及ぼす可能性があります。以下はその主な影響です。
●水道管の損傷
ウォーターハンマーは水道管に強い圧力をかけるため、配管が破損する原因となります。特に古くなった配管や脆弱な管材の場合、衝撃波によって管が割れたり亀裂が入ったりすることがあります。これにより水漏れが発生し、修理が必要になります。
●接続部の損傷
水道管の接続部分もウォーターハンマーによって影響を受ける可能性があります。接続部にかかる強い衝撃力が原因で継ぎ目が外れたり亀裂が生じたりすることがあります。これがさらに水漏れや事故を引き起こす可能性があり適切な処置が必要です。
●騒音の発生
ウォーターハンマーによる衝撃波は、配管内に振動を引き起こし、この振動が配管を通じて音として現れます。これが「水道のガンガン音」として認識され特に住宅やビルなどでは騒音問題となります。この騒音は、深夜や早朝などの静かな時間帯には特に問題となることが多いです。
3. ポンプやバルブの故障
ポンプやバルブなどの機器は、ウォーターハンマーによる衝撃により故障することがあります。ポンプの部品が破損したり、バルブが正常に動作しなくなったりすることがあるため機器の寿命を縮める原因となります。
●ウォーターハンマーの予防方法
ウォーターハンマーは、予防措置を講じることでその発生を防ぐことができます。以下の方法を採用することで、ウォーターハンマーのリスクを最小限に抑えることができます。
●スローダウンバルブの使用
バルブを急激に閉じることでウォーターハンマーが発生するため、スローダウンバルブを使用することが有効です。スローダウンバルブは、水の流れを徐々に停止させるため衝撃波を抑えることができます。このバルブを水道システムに取り付けることで、ウォーターハンマーの発生を予防することができます。
4. アンチハンマー装置の取り付け
アンチハンマー装置(ウォーターハンマーアレスター)を配管に取り付けることも効果的な予防策です。これらの装置は、ウォーターハンマーの衝撃波を吸収する役割を果たしシステムにかかる圧力を軽減します。特に住宅や商業施設などの水道システムにはこの装置が有用です。
●配管の設計改善
配管の設計を見直し急激な曲がりや鋭角的な変化を避けるようにすることで、ウォーターハンマーの発生を防ぐことができます。配管を適切にレイアウトし、曲がり角や分岐部をできるだけ緩やかにすることで、水流の急激な変化を抑えることが可能です。
●空気抜き装置の設置
配管内に空気がたまるとウォーターハンマーが発生しやすくなります。そのため、空気抜き装置を設置して配管内の空気を定期的に抜くことが重要で空気が水流の急変に伴って圧力を急激に変動させることを防ぐことができます。
●適切なポンプ操作
ポンプの停止を急激に行わないよう操作方法を工夫することが重要です。ポンプを徐々に停止させることで、流れの変化を緩やかにしウォーターハンマーの発生を防ぐことができます。
5. 結論
ウォーターハンマーは、水道システムにおける重要な問題であり、その影響は配管の損傷や機器の故障、さらには騒音の原因となります。しかし、適切な予防策を講じることで、その発生を防ぐことが可能です。スローダウンバルブやアンチハンマー装置の取り付け、配管の設計改善、空気抜き装置の設置など、さまざまな方法を組み合わせることで水道システムの健全性を保ち、安全で効率的な水供給が維持されます。